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最終更新日 2020年4月17日

福井信金(旧・武生信金)争議の終結のご報告とお礼



 ご支援いただいた皆さんへ


2019年2月28日 

  2013年12月、経営者の不正を暴く目的で役員のメールを閲覧、プリントアウトした行為が「不正アクセス禁止法」に抵触するとして組合役員2名が「懲戒解雇」処分となり、翌年1月に懲戒解雇無効を訴えて始まった「武生争議」が今年で5年が経過しました。
 事件の発端は2011年9月、地元雑誌に「武生信金15億円の不正融資発覚」の記事が掲載されたことから始まりました。記事の真偽確認のため、団体交渉で再三、経営側に事実解明を求めましたが、「知らない」「わからない」の一辺倒。
 組合はこのままでは埒が明かないと北陸財務局へ出向き、経営側にきちんと対応するよう要請も行いましたが、「個別の事案にはお答えできない」との返答に終始。地元では噂だけが先行し、預金の引き出しなど不穏な動きが出始めていたころ、解雇された組合役員2名は、このままでは会社が潰れてしまう、何とかしなければとの思いから役員のメールを閲覧し、不正の事実をつかみ「公益通報」しようとした矢先、懲戒解雇処分となりました。
 提訴してから、全国の仲間の皆さまには、裁判傍聴をはじめ要請行動や署名など、多大なるご支援をいただいてきました。争議が長期化した場合に備えた財政支援の目的で「支援する会」も立ち上げ、多くの方々から賛同いただき、闘争資金も確保することができました。
 当初から公益通報目的の閲覧行為であるため解雇は無効であると訴えてきましたが、弁護団の奮闘にもかかわらず、1審の福井地裁、控訴審の名古屋高裁金沢支部ともども私たちの主張は受け入れられず「解雇有効」との不当な判断が示され、頼みの綱であった最高裁も2017年2月、上告を棄却しました。法的な判断は下されましたが、私たちの争議は労使間で解決するものとして、本部、全国の仲間と連携し、受入れ金庫である福井信金へ団体交渉申入れ、金融庁や業界に対し要請行動を行ってきましたが、未解決のまま今日に至りました。
 また、当該の武生信金職組(現・福井信金労組)は、争議と同時に組織にも問題を抱えており、合併金庫である福井信金にも金融労連加盟の職組が存在し、旧武生職組はいらないとの声が労組内からも上がっていました。大会で「解雇撤回」の方針を掲げてきた組合の中からは、いつのまにか争議自体に反対であり、「本店前行動」など金融労連主導の要請行動にも「中止を求める署名」を多くの職員から徴収するなど、「組合の行動で救済合併が頓挫し、武生信金が潰れる」という宣伝が流され、組合脱退者も後を絶たないという状況でした。事件発生後から自分たちの正当性を伝え、何とか組織を残そうと何度も話し合いましたが、納得してもらえず、2018年12月20日の組合大会で、本年2月末日をもって組合を解散することが決議され、本日、組合は解散いたしました。
 当該組合が解散することにより、今後の交渉や要請はできなくなるということから、大変悔しいことではありますが、やむを得ず、本争議を終結せざるを得ないと判断いたしました。
 解雇された2人は、判決確定以降、生活を支えるため、別々の職場に就き頑張っています。彼等2人の勇気・正義感が金庫、職員、顧客を救ったのだと確信しています。
 争議終結に伴い、「支援する会」も解散いたします。「支援する会」にこれまで寄せられた資金は、解雇された2人の生活支援と弁護士報酬などに使わせていただきました。
 これまで、解雇された2人と最後まで支えた職場の仲間を、長きにわたりご支援いただいた全国・地域の仲間の皆様、支援する会に賛同いただいた皆様には心から感謝申し上げます。
 解雇を撤回させることも、組合解散を阻止することも成し遂げられませんでしたが、当該労組の委員長は、個人加盟労組の「金融ユニオン」に加入して、奮闘する決意です。
 当該の仲間からは「この武生信金争議で失うものも大きいものがありましたが、仲間の皆様からの温かい言葉、自分ひとりで闘っているのではないのだという安心等々、素晴らしい連帯感を得ることが出来ました。この争議で得た経験を今後の自身の行動に活かしていきたいと思います。長い間、ご支援いただき本当にありがとうございました」という思いが語られています。
 私たちは、この争議の経験・教訓を、今後の活動に活かしていく所存です。長い間のご支援・ご協力に心より深く感謝申し上げ、争議終結のご報告とさせていただきます。

以上 


争議について経営の対応公開質問状